「子どもの居場所がもつ価値」について学ぶとともに、登壇者との具体的な情報交換を通して、子どもの居場所づくりのあり方を深めるシンポジウムを開催し、子どもの居場所づくりに取り組む活動者を中心に、約80人が参加しました。
1.講演「子どもの居場所がもつ価値」
まず、はじめに湯浅誠さん(認定NPO法人こども食堂支援センター・むすびえ 理事長)より、「子どもの居場所がもつ価値」について講演いただきました。「皆さんは居場所がいくつありますか?」など、時折参加者に投げかけながら、子どもの居場所が拡大してきた背景なども交えお話いただきました。
●そもそも居場所とは何か
居場所の定義は本人が決めるものであり、「心がほっとする」「自分を出せる」など様々です。ただ、概ね共通として、誰かにちゃんと見てもらえている、受け止められている、尊重されている、つながっている、といったことをその人自身が感じられるような関係性がある場が「居場所」になり得るといえます。
●なぜ居場所をつくるのか
あえて誰かの居場所をつくろうとする動きが「居場所づくり」だと考えています。その背景は、十数年前の地域にはあった駄菓子屋や空き地等、「結果として誰かの居場所になっていた場所」が減ってきたことを受けて、人々がつながれる場所を増やしたいと思う人が増えてきたことではないでしょうか。
居場所の定義を「本人が決めるもの」と言いましたが、誰かの大事な居場所になったらいいなと思って場づくりをすることはできます。それが居場所づくりであり、子どもの居場所づくりに取り組む活動者の皆さんがやってこられたことなのです。
●子どもの居場所はどんな価値を持つか
「子ども」にとっては大人への信頼感につながる場であること、そして運営者にとっても、「やりがい・生きがい」になっている場合が多いなど、参加者全体に対する価値があります。そして最後に、地域全体に対する価値。居場所を通じて地域の中で関係性が増えれば、子どもも大人も自己肯定感が高まるなど好循環につながっていくことが考えられます。
このように、子どもの居場所がもつ価値を意識し、より多くの人に日々の手ごたえや実感を伝えることが重要です。
2.ラウンドテーブル
後半では登壇者ごとに4つのテーブルに分かれ、それぞれのテーマに応じて参加者と意見交換を行いました。
各テーブルでは、参加者から普段の活動における悩みについて相談があったり、登壇者の活動に関心を寄せた質問があがるなど、短い時間の中ではありましたが活発な意見交換が見られました。
参加者からは全体を通して、
「居場所づくりとは、誰かの居場所になったらいいなと思って場を作る事であるとの説明がしっくりきた」
「すべての子ども達が(そのまわりの大人も関わる私たちも)幸せに向かっていけるように少しでも手助け出来ればいいなと思いました。」
「各団体のホームページを読むだけでは理解できない事もあり、Face to Faceの重要性を改めて感じました」
など多くのご感想をいただき、子どもの居場所づくりについてあらためて考えることができたり、それぞれの関心に合わせたテーマで個別具体的な話ができたりといった学びの多い機会となりました。
参考:三宅さん(特定非営利活動法人山科醍醐こどものひろば/ファシリテーショングラフィッカー)によるグラフィック・レコーディング